翡翠原石遊び, 翡翠探訪

【翡翠探訪】糸魚川翡翠で夏の涼をお届け + 糸魚川黒翡翠からインペリアルグリーン(ロウカン)が! の二本立て_翡翠原石遊び

imperial green jadeite
Pocket



今回は、糸魚川翡翠を叩いた涼しげな音色でこれからの猛暑のために一足先に今年も夏の涼をお届けすることと引越しで行方不明になっていた切断機を見つけたので糸魚川黒翡翠を切ってみたらインペリアルグリーン(糸魚川ではロウカンというのかも知れない)が顔を覗かせた様子と翡翠の雑談の主に3つの内容となる。

まずは、以下のリンクにてYouTubeに動画をアップしてあるので夏の涼をお納めいただければと思う。




今回、良い翡翠の音色が出たのは糸魚川翡翠の黒翡翠で、少し前に購入したものであるが、加工途中のもので気になっていたので切断機が見つかったのを機会に切ってみようと眺めていたら、夏の涼を思い立った。

糸魚川翡翠の黒翡翠には2種類あるということで、それは、所謂、炭のような成分のグラファイトが入って黒く見えるものとオンファス輝石が入って非常に濃い緑になることで黒く見えるという翡翠と呼ばれているが翡翠輝石ではないものである。

今回使った黒翡翠は前者のグラファイトが混入したもので、色味的にはグレーでところどころに緑色が見える。外観的には糸魚川の金山谷産と言われるのものに似ているような気がするが判別方法が分からないので定かではない。

石の質をよく見てみるとグラファイトと共に白い綿状のものが多く入っているので光を遮ってはいるが、地は非常に透明度が高く、肉は非常に堅いので、叩くとミャンマーの高品質のA貨と同じような甲高い涼しげないい音がした。動画では耳で直に聞くよりは高音が反映されていなかったようだったが、そこは想像して聞いていただければと思う。

itoigawa jadeite
遠目にはグレーの黒翡翠


そして、そそくさと切断機で黒翡翠を切断してから改めて観察をしてみると、重大な発見があった。

itoigawa jadeite
切断される糸魚川黒翡翠

それは、切断面に濃い色の部分があり、フラッシュライトで光を当ててみると、至極小さいながらも非常に透明度の高い良い色のインペリアルグリーンの塊が顔を覗かせていたのであった。

糸魚川ではロウカンと言ったほうが良いかもしれない。

未加工の翡翠の原石を見る際に氷質やガラス質など透明度の高い部分は一見黒や濃いグレーに見えることが多く、その景色を見つけると期待度が高まるが、この糸魚川黒翡翠の緑色部分がまさにその通りで、一見周りのグレーに似た黒っぽい色のように見えたが、水で濡らしてみると綺麗な緑を発色し、光を当ててみると透き通ったその奥に緑が塊となって広がっているのが見えた。

捕らぬ狸の皮算用的な推測では、ミャンマーの超高品質なインペリアルグリーンに負けず劣らずの雰囲気を感じている。

インペリアルグリーンと呼ばれるものは氷質やガラス質で濃い緑色を帯びているまさに宝飾品の翡翠を印象付けている宝石質の部分で、ミャンマー産でも大変貴重な部分である。

今楽しんでいるようなミャンマー産の翡翠賭石の原石遊び程度でもなかなかそこまで高品質なものにお目にかかることはないと思うので、突然、糸魚川翡翠でこのレベルのものとエンカウントして実物を見ることができ、偶然ながらこの翡翠探訪の目的物の一つと出会った驚きと糸魚川翡翠にもこのような素晴らしい品質があるということへの確証ができた喜びで溢れ、譲っていただいた方への感謝が尽きない。

至極小さい塊だが、糸魚川翡翠で探していた終着点の一つなので自ずと期待感が高まっており、折を見て丁寧に削り出してみようと目論んでいるが、いつもながらその予定は未定のままである。

imperial green jadeite
糸魚川黒翡翠に潜む透明度が高い緑のロウカン



ところで、引越し後にはほとんどの機械も翡翠の原石もどこかに入り込んでしまい探し出すのが困難になっていたが、これから少しづつ見つけ出しながら、再び内なる宝探しに歩みだそうと思い始めている。

そこでいくつか手元にあった翡翠を眺めてみることにした。

jadeite
ちょうど手元にあった翡翠の図


まずはミャンマー産后江の翡翠原石から切り出したもので、以前も動画に度々登場している石である。

この原石から皮を剥いて切り出しているところ

一部を鬼滅の刃の竈門禰豆子の竹の口枷に加工して遊んだもの
https://youtu.be/b_pY6dmoqi4

初めはただの灰色の石ころの様な見てくれで、光を当てても黄色か黄緑色であまり期待はしていなかったが、皮を剥いてみると綺麗な緑色が顔を出した。

光は透過するが反対側が透けて見えているわけではなかったので、主観的には糯(もち米)種から氷糯種(氷種に近い糯種)というものなのかなと勝手に想像している。

聞きかじったところによると、光を当てて質を見る時には、光の透過距離や通り方と5ミリ厚で向こう側が透けているかどうかの状態を見るとおおよその検討がつくということであった。

例えば、文字などを透かして見た場合では、玻璃種(氷質の中でも透明度の高い超高品質でガラス質)のものは字を読める、氷種(アイスジェードという氷質)のものは字は読めないが何か字があるのを認識できる、糯種(もち米のような見た目の質)は光はよく通すが字の存在は確認できない、豆種(白濁などの質)は光をぼんやりと通すが字の存在を確認できない、その他、芋や烏鶏などに続く、というような感じであるが、細かいことは長くなるので別の機会にしようと思う。

jadeite
加工途中で放置されたミャンマー産后江の翡翠原石

この后江の翡翠原石の残りは情けないながら加工途中で放置されてしまっていたが、今回は偶然ルースになる予定の未完成品が夏の涼のために翡翠の音色を作り出すのに一役買ってくれた。

残りも気が向いたら手を進めてみたいと思っている。

ミャンマー産の翡翠でルースを作ってみたもの




次は、白い石を辿る旅ということで、白い糸魚川翡翠原石に文字を刻んでツイッターで妄想を繰り広げながら楽しんでいる石である。

白い石を辿る旅フェーズ2

ここで使っている石は以前購入した小ぶりの白い糸魚川翡翠で、きめ細かく滑らかな白い地に小さい緑色がキュートな糸魚川翡翠である。

恐らく海石と言われる範囲の糸魚川翡翠の原石で、海水にさらされて味を出しながら波に洗われて表面が滑らかになったものと勝手に思っている。

その糸魚川翡翠の海石的な雰囲気の素材を生かしながら字を刻んでいるが、この石は糸魚川翡翠らしく結晶が細かいからか、めっぽう堅く、細かい字を掘り進むのが少し難儀である。

しかし、もう少しだけ宿命に沿って活躍してもらおうと思っている。

itoigawa jadeite
白い石を辿る旅で活躍する糸魚川翡翠原石


次の原石は、ミャンマー産会卡の翡翠原石で、特徴的な青蛙皮という有機質の表皮を削り取ったものである。

石の肉の部分は非常に堅く、光を当てると透過度は高い。皮を剥いてみると、所謂、変種(石の中で肉の状態が変わっているもの)というものかもしれず、透明度の高い部分と少し霧のように白濁している部分があるように見える。また、少し石目(石の亀裂やヒビ)があるのも確認できた。

原石の段階で一部が割れて開口した部分が遠目で黒から濃いグレーに見えており、光を当ててみると光に照らされて石の内部が少し見えたので高品質への期待感を持って皮を削り取った。

この先加工を進めるならば様子を見ながら小割することになると思う。

いずれにせよこの段階で少し体裁を整えるべく表面に手を加えてみようと漠然と思ってはいるが、これも予定は未定である。

jadeite
高品質への期待が高まる皮を剥いだ緬甸翡翠原石




次の原石は、ミャンマー産の端材を購入したもので、細かい場口は不明のままである。

購入時は少し皮がついていたが、削り落としてみるとあちら側が透けるレベルの超高品質の翡翠であることが分かった。

見た目の透明度も高い上に、非常に堅く、気持ちごくうっすらと緑色を帯びている。ガラス質と言っていいような高品質の原石であるのではないかと感じる。

石の肉には綿のようなモヤモヤを内包しているが、端材を文字の上に置くと完全に文字を読むことができるほどの透明度の高さである。

小さくて薄く、また、変わった形であるが、そのうち気が向いたら何かに加工していてもいいかもしれないと漠然と思っている。

jadeite
透明度の高いミャンマー産翡翠原石の端材


翡翠については、糸魚川翡翠も緬甸翡翠もほぼ全てが何かしらで購入したものである。

一方、いつの日か再び糸魚川に訪れ自らの足で宝探しを楽しみたい、と夢を馳せながら調べ物をしては悶々と妄想を膨らませ心に密かに計画を立てているが、いつも通り予定は未定のままである。

おしまい

夏の涼と糸魚川翡翠のロウカン