ビーチコーミング, マーケット探訪, 化石, 石拾い

フロリダでサメの歯の化石を探す

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こんにちは。GOです。

フロリダでサメの歯の化石が拾えるらしい。たったそれだけの情報で冒険に向かうことを決めるには十分だった。米国での日程の合間を縫って飛行機でフロリダに飛んだ。



目的となる化石の自分の中のイメージは当初巨大なメガロドンの歯の化石だった。ただ、少し調べてみるとダイビングで少し海に潜らないと大きなメガロドンの歯を見つけることは難しそうな雰囲気であった。

一方、小さいサメの歯の化石ならばビーチで拾えるらしかった。なんだかビーチコーミングの遠征という感じになるかもしれないという思いが頭をよぎったが、そこは冒険、冒険ということで自分を納得させた。

場所は、フロリダのキーウェストという海岸一帯の地域ということで、情報としてはいくつかの海岸の名前を見つけることができた。中でもガルフという、以前タンカーから海へのオイル流出があった地域の名前はそんなに記憶の中で劣化していないような気がする。

その日は大雪の積もるシカゴのオヘア空港から常夏の陽気のフロリダの空港に向かうことになった。

空港からレンタカーを借りて目当てのビーチに向かう。旅程はまずは南下してそれらしきビーチを隈なく探していくというなんとも気の遠くなりそうな場当たり的な方法であった。


到着した日は移動日とし、お目当てのビーチが集中している地域に向かい一気に南下していった。

到着が夕方だったこともあり、ビーチコーミングでのトレジャーハント用の長い柄で金網の付いた熊手のようなスコップのようなものなど資材を購入したり、近くのマーケットに立ち寄ったりした。


ホームセンターで購入した長い柄のついた潮干狩りに使うかのようなサメの歯のビーチコーミング専用の道具

そのマーケットはブースを貸し出す形の巨大な屋内フリーマーケットのようなところだった。マーケットの中にもサメの歯の化石などを売っている店があり、値段などをチェックし、もし拾うことが出来なかったら帰り際に買おうと密かに考えていた。

サメの歯を大量に売っていたお店にいたのは女性だったが、主にはダイバーであるその夫が自ら海に潜っていろいろと集めてきているということで、メガロドンの歯もその中の一つだった。主にはそういう海から採ってきたものを売っているらしかった。値段もほどほどに安く、ここに安く売っていると安心してその場では買わずに、その日はマーケットを後にしたのが失敗だった。メガロドンの歯を目的に最終日に寄ってみると、その店は休みだった。ただ、そこでメガロドンの歯を拾うならばダイビングが必要ということを知り、確認できたことはいい情報であったと思う。

翌日、早朝から名前の挙がっていた一番南の地域のビーチを南下しながらいくつか見ていると南に行くに従いビーチが荒波に削られる様子が顕著となっているのが分かった。

キーウェストの北端辺りのビーチは真っ白の砂の白浜であるが、南下するに従い砂はグレーがかってくる。一番サメの歯が拾えると名前が挙がっていたところは濃いグレーの砂だった。


常夏のフロリダキーウェストの白い浜でバカンス気分



始め降り立ったビーチの近くでは、岩場の場所もあった。海中やビーチでトレジャーハントをしていると思われる人々が多く見受けられた。中には本格的な装備の人々もいるようだった。


荒波が押し寄せる岩場で過酷なトレジャーハントに励む人々

暫く普通のビーチコーミングのように波打ち際を歩いて行ったが、一向にそれらしいものを見つけることはできなかった。それは、波が荒く、砂が荒々しく削り取られているビーチに差し掛かった時だった。中年の女性が周りに喜びの声を挙げながら何やら拾い上げている。手元はよく見えなかったが、その声の感じからお目当てのサメの歯の化石を沢山見つけているような雰囲気だった。

周りを見渡しても皆さんオケラのような感じだったので、その声を聴いた周りの人は疲労で死んだような鈍い眼光で羨望の眼差しを向けていた。そこで暫くその女性の行動を観察するために近くに何気なく陣取った。

やはり、拾っていたのはサメの歯の化石だった。どうもそこだけ砂の感じが少し違うように見えた。また波が引くタイミングで嬉々として砂浜に手を突っ込んでいるようにも見えた。そんなことを観察しているとなにやらコツらしきものがあることが分かってきた。


荒波に削られるグレーの砂浜のあたりは多くのサメの歯が打ち上げられる


そんなことをイメージしながら波打ち際を歩いていると、先ほどのように砂の感じが少し違う場所が出現してきていた。出現というのは、だんだんと現れてきたという感じであった。もしやと思い近寄ってみるとなんとどんどんサメの歯の化石らしきものが打ち上げられては波に浚われている様子が見えた。

これはいかんと急いですぐにその波の流れの最中に駆け寄り、波間で洗われる砂の中にそれらしきものが現れたら無心で手をツッコんで拾い上げた。手の中を確認してみると砂と共にやはりサメの歯の化石があった。

しばらく夢中で寄せては消えるサメの歯の化石ハントをしていたが、気づくと砂の感じは周りのようにもどり、その場所にはサメの歯の化石はそれ以上打ち上げられてくることはなかった。結局、その後もそういう波には数度しか出会うことはなかった。

ある人っ子一人いない海岸で、その波を見つけてサメの歯の化石を拾っていると、浜辺に落ちているサメの歯を探しながらこちらに向かって歩いてくる少女がいた。少女の存在を無視しているかのように何やら話に夢中になりながらどんどんと進むその家族らしき女性2人も見えた。

波打ち際で必死に砂に手刀を打ち込んでいる怪しいアジア人をぼんやりと眺めているその少女の手には波打ち際で拾ったと思われる何かがあったが、それを見て、サメの歯を拾えることを夢見て一生懸命探していたに違いないと直感した。彼女のこのバケーションの中で一番のメインイベントとしてのサメの歯の化石を拾おうと夢見ていたことを知ってか知らずか、この海辺の散歩がスケジュールに組み込まれていたのかもしれない。そこで、明らかにないがしろにされていた可哀そうな少女に今拾い上げたばかりのサメの歯の化石を一つあげると急に明るい顔になり、喜んで会釈をし、家族のもとに走り去った。


小さいながらも浜で拾えた良質なサメの歯の化石



今回のフロリダ行脚ではメガロドンの歯を手に入れることはできなかったが、少なくとも大量のサメの歯の化石を自分の手で拾うことができたことで、比較的満足してフロリダを後にしたのであった。

もし、次に機会があれば現地で手に入れたフリーペーパーにあったようなメガロドンの歯を取りに行くようなダイビングのコースに参加できればと漠然と夢見ているが依然として予定は未定のままである。

そして、しばらく時が経ち、過去の他の荷を解いた時に、このフロリダのビーチコーミング遠征の大分前から既にメガロドンの歯の化石が手元にあったことを確認して思い出したことを付け加えておこうと思う。


遠い昔から自宅に保管されていたメガロドンの歯