こんにちは。GOです。
北米LAでの滞在の最終日、少し頑張って月に一度ロングビーチで開催されているという巨大なフリーマーケットに足を延ばしてみた(2019年の情報です)。夏の1か月ほどの米国滞在中に初めてのカリフォルニアLA滞在が決まった時からLAで何とか時間をとって探したいと思っていた物があった。
それはラベンダーヒスイである。
時代は少し遡り、20世紀の中ごろ、あるアメリカ人の宝石商が新しい商材を開発しようとしていたところ、ミャンマーの美しい紫色のヒスイに目を付けたという。当時、美しい紫色を携えたラベンターヒスイはまだ欧米では市民の宝飾品としては目新しく、商機ととらえた宝石商はカリフォルニアを中心にラベンダーヒスイを流通させることに成功したという話をどこかで見たことがあった。もちろん聞きかじりの受け売りであるが、そんな噂に惑わされ、その話が本当ならば丁度今頃はその頃にラベンター翡翠を手に入れた人々の品が市場に流れ出てくるタイミングかもしれないという特に裏付けもない思い付きが脳裏に閃いたのである。
LAでもいつもの掘り出し物を探すパターンでビンテージやコレクティブルを探したが、どういう訳かラベンダーヒスイを目にすることはなかった。ラベンダーヒスイどころかヒスイ自体もほとんど目にすることはなかった。回ったところがラベンダーヒスイの流通するマーケットとは少し異なっていた可能性もあるが、いずれにせよ安易な自分の思い付きの浅はかさを責めながらも淡い希望は捨てられず、その時期に開催されているマーケットの情報を改めて見直してみた。すると、LAを発つ当日の少しギリギリのタイミングではあるが、少し遠方だったので一旦は諦めたロングビーチの巨大なフリーマーケットが開催されるという情報を見つけた。
そこで、当日は早々に旅立ちの準備を済ませ、朝早くから車に乗り込みいそいそとロングビーチに向かい南へと車を走らせたのであった。いくつかの予定を切磋に遣り繰りしながらだったので、マーケットのオープンからは少し遅れての会場への到着となった。結構な人気のマーケットらしく、駐車場もいっぱいで、端の方にやっと停まれたという感じだった。何とか車を停め、入り口で入場料を支払い会場に入ると、炎天下にも拘らず既に会場内も賑わっていた。
出店数の多い巨大なマーケットなので半日くらいかけてゆっくりと見回りたいという思いを抑え、極端に限られた滞在時間で主にヒスイ関連だけに目を光らせて足早にマーケット内を歩いた。
大変な駆け足で、正味2-30分程しか余裕がなかったので一つ一つの店をじっくりと見る余裕はなかったが、横目で見るだけでもいくつかの店が翡翠を扱っているのが分かった。他のマーケットではこれほど翡翠を見ることはなかったので少し気持ちが昂る。
しかし、たまに立ち止まってよく見てみるとどの店も中華系の新しい装飾品や作品類と思われるものが多く、ビンテージという感じのものはほとんど見当たらなかった。足早に通り過ぎていく中でピンとくる店がなかったのでそろそろ会場を去ろうと思い始めた頃、各種のコレクティブルが入った簡易なガラスの蓋のついた古ぼけたケースを雑然と積み重ねている店があり、そのパイルの合間からヒスイらしき色合いが見えたので、店主に断りを入れてそのケースを掘り出してみた。
店は違うが写真左下のようなガラスの蓋のついた古びたケースに目が行く
思った通りそのケースにはヒスイ製品と思しき品物が雑然と纏めて入っていた。更に良かったのは、中華系の宝飾品や作品類は多少混じっているように見えたものの、他の店と違いすべてが真新しい雰囲気ではなく、いくつかは明らかに他で目に付いたものとは雰囲気が違っていたところであった。
もう少しだけ見てみようと意気込み、そのケースを開けいくつか手に取って見てみた。やはり申し訳程度ではあるがJADEと書いているタグがついているものもあったので店主の大よその分類ではこのケースの中はJADEもしくはJADEのような物のケースだったのだろうと思う。
タグがない小さい品物もあったのでそれがJadeiteかどうかを店主に聞いてみた。店が扱っている物の外見は大よそビンテージ風だったが、ヒスイは専門ではないらしく、もちろんそんなことを明言することもできないだろうと思ったが、やはりその通り、そんな細かいことは俺は知らんというようなことを言っていた。
細かく手に取って見ていると一つだけ非常に気になる品物があった。それは十字を彷彿とさせるデザインで4つの石があしらわれていた。その一つがラベンダーカラーであった。紫、黄、赤、緑という感じの色の組み合わせのシルバーのペンダントトップだった。全体的な雰囲気は古く、石の感じを手に取ってあれやこれや見てみたところ、やはりヒスイであると思われた。従前の先入観では紫色のたっぷりとしたカボションのルースをイメージしていたが、きれいな紫色の翡翠らしき石がこれしか見当たらなかったので、選択の余地もなく購入候補に入れた。
近頃ヒスイの事は気にして見ているのでその特徴からそれらがヒスイ製品だろうとは思ったが、ヒスイであるかどうかも含めてどんな類のものなのかの詳細についてはやはり確信レベルでは分からなかった。もちろん、店主さながら、そんなようなことが分かるようならば大したもので、それだけで商売が出来そうである。
あまり時間がなかったので吟味は後でしようと、いくつか目ぼしい小さいものを手に取って買って帰ることにした。どれも到底精巧な作りとは言い難いものだったが雰囲気は気に入っており、少なくとも一つでも目的物に近いものが手に入ったということで良しとしておいた。店主は忙しくしていたようで、会計をお願いすると値段のタグをよく見ることもなく、適当な値段でいいよということで、全体的には割引価格で売っていただけた。もともとそれほど高くない物だったが、何だか少し嬉しい気持ちになった。
元々の思い付きで探していたラベンダーヒスイの仲間かどうかは今のところ判別する術もなく、もちろん分からないが、その時は手に入れたものをそそくさとそこいらの荷物の間に突っ込み入れ、少なくともこの地でラベンターヒスイらしきものを手に入れることができたという少しの満足感と共に会場を足早に後にした。